2019年の1月6日、茂木健一郎さんがnoteデビューを果たした。一発目のnoteは自己紹介的にnoteを始めたきっかけを説明しているものだった。

二本目のnote 「内側ではいろいろ批判しても、外に対しては仲間を守る」というポリシー では本音トークとして、一部の人々から誤解されている日本に対する茂木さんの態度について掘り下げて書いてある。どうやら普段から日本国内の様々なものに対して批判的に論じる茂木さんは、その立ち位置を理解しない人達からはアンチ日本と見なされて口撃に晒されているらしい。

当noteでは、茂木さんが海外でも活動をしていて、その具体例として日本について広く世界に知ってもらうために”The Little Book of IKGAI”を英語で描き下ろした旨が書かれている。同時に、日本人にとってはまだまだ英語圏の情報にアクセスすることは敷居が高くて、そのため自身の立ち位置(内側ではいろいろ批判しても、外に対しては仲間を守る)がなかなか理解されづらいともぼやいておられた。茂木ファンとして見過ごすわけにはいかないので、茂木さんが “The Little Book of IKIGAI” を上梓する際に書いた英語ブログ記事“Writing The Little Book of IKIGAI”を拙い英語と日本語を自覚しつつも訳すことに決めた。今まで茂木さんの英語を読んだことがない方は、これをきっかけに元の英語記事も併せて読んでもらえると今回のnote記事で話されている内容の真意がもう少し分かるかもしれないし、ひょっとすると茂木さんも喜ぶかもしれない。

以下、全文引用。


Writing The Little Book of IKIGAI
2017年9月7日にQuercusから出版される『The Little Book of IKIGAI』は英語で書き下ろした初めての本です。

英語圏の仕事で、いくつかの章を書いたり、編集をしたことは過去にもありましたが、一冊の書籍の初めから終わりまでを英語で執筆するのは今回が初めてです。

今までに100冊以上の日本語で書かれた本を出していますから、出版業界自体を経験したことがないということではありません。
とはいえ、言葉の壁が持つ影響は実際的にも想像されるものであっても依然としてとても大きいです。 日本に生まれて、そこで教育も受けた者にとっては、英語という言葉を使ってゼロから一冊の本を書き上げるというのは多分、絶対に実現しないであろう夢です。

さて、本書を書き終えて、最終校正のために出版社へと送りました。不可能だと思っていたことが現実のものになることが待ち遠しいです。
もちろん、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。

英語という言葉で本を書くことは、ずっとやり遂げたいと考えていたもののひとつです。人生の中にある他のものと同じように、創造的とは呼べない色々な理由によって先延ばしになっていました。

セレンディピティが起きたのは、著作権代理人のHさんがロンドン・ブックフェアへの旅路を手配してくれた時のことでした。正確に書くと、その時点では英語圏での出版物はなかったので、Hさんはまだ著作権代理人ではありませんでした。Hさんはオーストラリア生まれで、今は東京に拠点を置いて活動されています。彼との間で、本の出版計画について何年も話し合いを重ねていましたが、去年になるまで何も具体的な動きはありませんでした。

ロンドン・ブックフェアを訪れている最中に、HさんはQuercus出版社で編集者をしているケイティさんと知り合いました 。IKIGAI、心身ともに健康で長生きするために重要な生き方に関する日本の哲学、について書いてくれる人を探していると彼女は話したそうです。それを聞いてすぐに、Hさんは私に話してみようと思い立ち、メールを送りました。 本当のところ、IKIGAIについて何か書くというのは、その時点での”to do list”には入っていませんでした。

おもしろいことに、興味を引く偶然の重なりがいくつかありました。ダン・ベットナーのTEDトークについて既に知っていました。彼は沖縄の長寿の秘訣としてIKIGAIについてトークショーで触れていました。Hさんからのメールを受け取る直前には、私はTEDx Tokyoに参加していました。会場に居た聴衆の1人(アメリカ人と思われる)が話の中で世界規模で想像力を掻き立てることができる日本的な考え方としてIKIGAIを挙げていました。

それで、Hさんからメールを受けった時に、それまでIKIGAIについて本を書くなんて考えたこともなかったにも関わらず、単に生きていく上で役に立つことをまとめるだけではなくて、日本的な生き方に対して洞察を加えることは知的でおもしろい挑戦になるとすぐに思いました。

IKIGAIは日本人の多くが、まるで空気のように、当たり前に捉えていることです。 執筆する過程で、実際にどういう風に、この独特のコンセプトが日本人の生活を形作っているのか考えるためには改めて自分自身と向き合い、見つめ直す必要がありました。 IKIGAIが持つ良い働きについて説明する際に登場する科学的な背景に関しては簡潔に記すように努めました。

実際的なアドバイスと深い思索、両方のちょうど良い位置を考えて本書を書きました。 角界、寿司、神社、また日本独特の価値観に関してよく抱かれる疑念はもちろん、更にはおそらく大半の西洋の読者にとっては馴染みがないと思われる、ラジオ体操、コミケット(コミックマーケット)、そしてコスプレについても論じています。

IKIGAIに興味を持つ方にとって、本書がより良い生き方へのヒントとなり役立てることを望みます。