コンテンツの秘密 川上量生 まとめ

川上量生のジブリの関係性と背景。

ジブリに入った時に、鈴木に「作品は宮崎以外も作っているのに、なぜ彼の名前を冠したものとして作品が世に出るのか、それでいいのか」と聞く。鈴木は「そういうもんだ。作品は監督のもの」と答える。釈然としないが、その理由を知るためにも修業をする。

コンテンツフォーマットの境目

どこからどこまでが区切られているのか?
例えば、DVDであれば特典動画、複製禁止の警 告文、物理的なパッケージ、イラスト。小説であれば表紙、挿 絵などは本質的なコンテンツの周辺としてあるが、消費者視点 から見ると商品価値を左右する要素である以上、製作者も軽視 はできない。
書籍について: ハードカバー→新書→文庫という出版形態の流れがあるが、これはどんな意味があるのか?
出版の人間はこれらを別のメディ アととして捉えている。
フィルムコミック=漫画というメディアで再構築された映画

メディアが変わるとコンテンツも変わる。

同じ映像作品でも、TVでも間にCMが入り、カットされることもある。DVDでは映像特典が付く。
WW2以前に活躍した映画監督エイゼンシュタインのモンター ジュ理論は科学的であり光学的。黎明期の人間のほうが自分の 関わる分野について冷静に理論的に分析をしている。現代のクリエイターは情緒的であるか細かすぎる技術の話しかしない。

コンテンツ=現実の模倣=Simulation
コンテンツの発展=現実への漸近=情報量の増加
アニメでの情報量=線の数

実写であれば情報量は格段に多い。なぜアニメをやるのか。

元々アニメは実写よりも情報量が少ないから子供たちに受け入れられている。しかし、今は情報量を上げる競争が行われている。大人もアニメを見るようになった反面、子供は理解できなくなっている。矛盾。単純に情報量の多寡で良し悪しは決定されない。

なぜ宮崎作品は日本だけではなく、世界で評価されるのか。

一般的に日本のアニメは世界で評価されづらい、なぜなら理屈 ではなくて感覚で作るから。本来は宮崎作品も同じ系列である。しかし、現実は世界で評価されている。それは宮崎が人間の脳にとって気持ちの良い映像になっている、という意味で理 屈が通っているからではないか、という仮説を立てる。彼の作品は脳と視覚構造が認識しやすい形になっている。庵野曰く「宮崎は見たものをそのまま書いているだけ。普通 の人はそれができない。脳が受け取ったままの情報を手の動きとして紙の上に線として再現できない」「宮﨑駿は人間の脳にとって最高の写実主義をやる」
川上は仮説を立てる。情報には量とは別に受けて側で立ち上がる質的な違いが存在する。客観的情報量と主観的情報量。
よって、客観的情報量が多いドラマであっても、主観的なレベルではアニメの方が情報量で優る場合がある。
主観的情報量はその特徴上、定量化がむずかしい。
主観的情報量=脳が認識する情報の量;
それはとても少なく、せいぜい1,か2。
ジブリは音と動き(絵)の情報が衝突することに気をつけている。

コンテンツとは少ない客観的情報量でたくさんの主観的情報量を伝えるものである。

コンテンツとは人間が視覚的認識をそのまま描いたものではなく、脳の中にあるイメージを具現化したもの。
葛飾北斎はあたかも、現実の事物の中から円や整数比を見出しているかのよう。実は脳の中に数学的な事象を見出す構造があり、これを活用できることが彼のすごさ。
長戸大幸:ZARDなどを輩出した大物音楽プロデューサー。川上が最も影響を受けた人物。人嫌いでもある。彼いわく、プロデュースしたバンドが売れたのは、ボーカルを大きくはっきりと聞こえるようにしたから。当時はカラオケが 流行っており、普通の人が知らない曲を聞くのはまちなかだった。はっきり聞こえる声が一般に受けた。これは川上の脳は取りだしやすいものを好む、という仮説にも合致する。
分かりやすい=いい=美しい
川上が着メロ配信をやっていたときにも、できるだけ音量を大 きく鳴らすように作った。それがよい着メロとして高校生に受けて、お金になった。

コンテンツはワンパターンに陥りやすい。そしてこれこそがコンテンツの本質。

美術史のサイクル; アーカイズム→クラシック→マニエリスム→バロック
ウラジミール・プロップというロシアの民俗学者は「昔話の形 態学」で話の構造を31の機能と7つの行動領域に分けて説明している。
エヴァの庵野秀明は音の感覚に優れている。氏いわく、映画の 8割は音や音楽。

押井守について

鈴木曰く、独特の映画論を持っている。押井にとって映画は3つの要素しかない。ストーリ、キャラクター、世界観である。
この3つの要素間での優先順位で映画の種類が決まる。テレビ番組としてみるとアニメの制作費は高い。一方でSFやハ イファンタジー作品を作る場合には安上がりになる。現実離れ するほどアニメは相対的に安くなる。
天才は安物のシミュレーター。