日本語と英語の違いを知った上で英語の発音を練習すると効率が良い

抽象的な話から始めて最後は具体的な発音克服方法まで掘り進めます。

日本語と英語はとても違う

まずは基本的な言語の認識から始める。
日本語と英語はとても違う。言語的にとても離れていると言ってもいい。そのせいで日本語話者にとって英語は他の外国語よりも習得が難しい言語である。
例えば韓国語や中国語(といっても色々あるけれど)は日本人にとって習得が比較的容易い言語である。
言語別のより具体的な比較は、ディラ国際語学アカデミーのサイトに表としてまとめられている。
言語的に遠いということは英語が母国語である人にとっても日本語は難しい言語だという予想が簡単に成り立つ。これは正しい。VISUAL CAPITALISTに英語話者にとっての多言語の習得難易度が同様に示されている。
この説明によると英語話者にとって最難関の言語グループは大きく3つある。アラビア語、中国語、日本語である。更にその中で日本語が最も習得に時間を要するとある。
これは言語が発達したのが数万年前(諸説あり)で、東アジアと西ヨーロッパが離れているから、言語的な性質も異なったと考えると納得がいく。
語学学習となった時に英語の勉強しかしていない人は視野狭窄の傾向がある。どうしても英語と日本語という一対一の関係性でしか捉えることができない。でも、実際には地球上には数千の言語がある、と言われている。歴史的な流れの中で英語がグローバル言語に決定してしまったので、我々日本人はこの習得が難しい言語を勉強しなくてはならなくなってしまった。
日本人にとってとても難しい言語なのだから、苦労して時間がかかるのは当然だと捉えよう。

では具体的に何が難しいのか

少し具体的な話になってきた。
ここで養老孟司の「唯脳論」という本を引き合いに出すことにする。
この本の中で養老は人間が日常的に使う言語は「視覚言語」と「聴覚言語」の2つに大きく分類することができる、と書いている。解剖医だけあって、本の中では事細かに説明してあるのだけど、かいつまんで要旨だけ示すと人間にとって外部の情報をインプットする重要な器官は2つあって、それは目と耳。これらの器官を通して情報を伝達するようになったことで出現したのが上の2種類の言語である、というもの。
少しこの考えを伸展すると、語学を学ぶ時に使われる学習区分は次のように整理されるだろう。
  • 視覚言語においてのインプット=読解(リーディング)
  • 視覚言語においてのアウトプット=筆記(ライティング)
  • 聴覚言語においてのインプット=聞き取り(リスニング)
  • 聴覚言語においてのアウトプット=喋り(スピーキング)
加えて重要なのが、始めに触れた通り、日本語と英語の違いである。上記の分類に倣うと日本語は視覚言語的であり、英語は聴覚言語的なのである。つまり、両方で使っている感覚器官が違うことになる。そりゃ難しいはずである。漢字、ひらがな、カタカナが入り混じった文章を読み慣れていても、英語は音を大事にするから日本人にはとても違和感のある言語なのだ。

なぜリスニングとスピーキングが難しいのか

上の流れを引き継いで記す。
英語は圧倒的に音の種類が日本語のそれよりも多いから、聞き取れなかったり、出すことができないで苦労することになる。
国際発音記号(International Phonetic Alphabet)を元に音の種類を一覧にしたものがある
日本語の母音は「あ、い、う、え、お」の5種類。一方で英語には26種類の母音がある(これは音素の分類方法によって変わる)。日本人にとって「あ」と聞こえる音だけで5種類以上ある。子音についても同じである。
日本語と英語はとっても言語的に離れていて共通点がほとんどない。
日本語は視覚言語的で文字の種類が多い。
英語は聴覚言語的で音の種類が多い。
そのためにお互いにとってお互いの言葉の習得が難しい。これで事態はずいぶんとすっきりとしてきたと思う。

なぜリスニングとスピーキングが難しいのか(追加)

これは英語に固有というわけではないのだけど、重要だと思うので説明する。
発音の練習が難しい理由の一端には、口の中が見えない、という単純な構造的な問題も関係している。
考えてみて欲しい。あなたは今までやったことのないスポーツをする。例えば、人生で初めてサッカーをするとしよう。目の前にはお手本となるプロ選手がいる。プロ選手がボールを蹴ってシュートを決める時にあなたはどこに注意を払うべきだろうか。
答えは選手の動きである。ゴールの方だけを見ていては選手がどういったフォームで蹴っているのかわからないので上達は遠のいてしまうだろう。
これは語学の発音についても同じである。
今の例えを援用すると、次の対応関係になる。
選手の動き(=口の中のフォーム)
シュートが決まる(=発生された音)
繰り返しになるが、スピーキングを練習する段の問題は注視しなければいけない口の中が見えないことにある。俺の生徒もそうだけど、音を聞いてそれだけを手がかりに綺麗な発音をしようと練習するけど、それは上で説明したように、選手の動きを観察せずにゴールの方だけを見て上手なシュートを決めようとしているのと同じで無理である。
また、重ねて厄介なことに、原理的に聞き取れない音は発音することも出来ない、という問題もある。
これについては視覚言語で考えてみてほしい。リーディング(視覚言語のインプット)の能力よりもライティング(視覚言語のアウトプット)の能力が高い人なんているだろうか。どうやら、いそうない。なぜなら、ライティングの内容を保証するためには書かれた内容を自分自身で読んで理解できる必要があるからだ。これは聴覚言語においても同様である。

では、困難にどう対応したら良いか

口の中が見えない問題については、先にも挙げたIPAのリストを参考に口の中で歯、舌、喉の使い方を学ぶことで対応する。
聞き取れない音は発音できないない、という問題に関してはネイティブに付き合ってもらうのもありだけれど、SiriやOK googleを使うことで解決できる。これらは無料のサービスでネイティブの耳だけ使うことができる。IPAのリストにはそれぞれの音が入った単語が書かれているから、それをAI相手に話してみて聞き取ってくれれば上手く発音できていると判断していいだろう。
更に少し細かい部分の説明についてはまた次回に譲ります。