第一次世界大戦とヨーロッパ資本家

第1次世界大戦
FRBの設立以後は、通貨発行権の行使のための戦争が始まる。
結果の波紋作用として、世界恐慌、第二次世界大戦、冷戦、グローバル化の流れが起きる。
きっかけは、ボスニアの首都サラエボで、オーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の世継ぎ、フランツ・フェルディナンド大公が暗殺されたこと。
犯人は、20歳に満たないゼルビア人民族主義者、ガブリロ・プリンツィプ。
フリーメイソンに関係する黒手組が関与していた可能性もある。
ピーター・ドラッカーは自伝「傍観者の時代」で大戦中のオーストリア大蔵省で財政担当のヘルマンシュワルツワルト博士が官庁キャリアをオーストリア大蔵省ではなくて、貿易省からスタートしている点を指摘して、フリーメイソンであると指摘している。
陰謀論の是非は問題ではなく、当時のオーストリア=ハンガリー帝国の国情を知るために興味深い。
ヨーロッパではフリーメイソンのネットワークなしで財務、貿易経路が成り立たない。
皇太子が殺されたことでオーストリア=ハンガリー帝国が本気でセルビアと戦争をはじめようとしたわけではない。
最後通達をした時にも軍隊の部分的動員しかしてないのが証拠。

日本では「帝国主義列強の対外膨張戦略が高じた結果、サラエボ事件を発端に第一次世界大戦が勃発した」と教える。
しかし、これは矛盾だらけ。帝国主義時代にヨーロッパ列強は妥協を繰り返した。
1898年:ファショダ事件(アフリカ大陸の植民地計画、権益についてイギリスとフランスの対立)
1905年:第一次モロッコ事件(モロッコを巡りドイツとフランスが対立)
1911年:第二次モロッコ事件
のように外交的な解決が働いた。これは金持ち喧嘩せず、である。
しかし、第一次世界大戦は起きてしまった。
オーストリア=ハンガリー帝国の宣戦布告から1周間後にセルビア独立を支持するロシアが参戦。それを確認したドイツがロシア、フランスに宣戦布告。
ドイツ軍がベルギーに侵入したのを確認し、イギリスが参戦。
普通の説明としては、背景にドイツ、オーストリア=ハンガリー、イタリアの三国同盟とイギリス、フランス、ロシアの三国協商があった、というもの。
しかし、ヨーロッパ各国は同盟関係を反故にしてきた歴史があり、他国を侵略するとあとで返ってくることを知っていた。
軍属死亡者900万人。非戦闘員死亡者1000万人。負傷者2200万人。
第一次世界大戦は通貨発行権の行使が目的。
同盟国、連合国共に国家総力戦の持久戦をするには莫大な資金が必要。
イギリスの国防費は1913年の9100万ポンドから1918年には19億5600万ポンドにまで膨れ上がる。総支出の80%。
これによってイングランド銀行は大量の紙幣を発行した。
国内はこれでよいとしても国際取引は金本位制とすると通貨発行上限があるので、まず各国は金の持ち出しを禁止。
こうなると各国の通貨価値はなくなる。そこでFRBによる米ドルを使うことになった。
アメリカは孤立政策を取っており、通貨に影響はなかった。これによりヨーロッパの金(gold)がアメリカに集まった。
第一次世界大戦の結果、ロシア帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、ドイツ帝国、オスマン帝国が瓦解する。これらの国に共通するのは、自国通貨発行のための中央銀行を持たなかった点。

19世紀までのヨーロッパの中心はオーストリア=ハンガリー帝国
神聖ローマ帝国に君臨したハプスブルク家がオスマン帝国と戦うために、ハプスブルク家の君主がチェコ王とハンガリー王を兼ねることになり、同君連合になった。
様々な言語、民族、文化が混在し、かつ人、物の移動、交流が自由であった。
たとえば、画家のアルフォンス・ミュシャは19世紀末ウィーン芸術の代表で、これはモザイク的な多様性の中で育まれた。
オーストリア=ハンガリー帝国の通貨は周辺国に広く流通した(クロアチア、ポーランド、ルーマニアなど)。
金本位制を前提とすると一国の通貨がどこまで流通するかはその国の文化への共感度に寄る。歴史的にみて異なる民族文化圏の通貨を使った例はない。
ハプスブルク家は大量の金を保有。ロシア帝国、オスマン帝国、ドイツ帝国も同様。
これはヨーロッパ資本家からすると邪魔でしかたがない。旧帝国が所有する金はFRBによって第一次世界大戦時に吸収された。
金がなくなることでインフレが進行し、帝国は崩壊する。あとは民主主義の必要性説き、政府から独立した中央銀行制度を作れば国の資本を支配できる。